一枚一枚に、永き歳月が積み重ねられてきた瓦屋根。造り酒屋としての歴史を物語る仕込み蔵。その中では酒に、酒造りにみせられた男たちが情熱と技を尽くして銘酒を醸し出します。蔵元 繁桝の歴史は、初代高橋六郎右衛門が米どころ八女で造り酒屋を開業するところから始まります。その後、九代目竹吉氏が基礎を固め、十代目繁太郎氏が会社組織への改組。この時、繁太郎の名前の「繁」をとり、酒を量る桝が益々繁栄するようにとの願いを込め「繁桝」の名が誕生しました。そういった様々な変遷を経て、今日の十八代目に至ります継承の技を守り、さらに研鑽し、皆様から高い評価を得る酒造りのため日々努力を続けています。また、飲んでいただいた方が笑顔になる、そんな“幸せの力水”を醸していくことが私達の使命だと十八代目 高橋信朗さんは語ります。原料米は福岡県産の「山田錦」「雄町」「吟の里」「夢一献」を使用し、酒づくりに使う仕込み水はカリウム、リン酸、マグネシウムを適度に含んだ矢部川の伏流水を使用し福岡八女の地酒を醸しています。
繁桝が仕込み水として使う水は、筑肥山地から湧き出る清流矢部川の伏流水です。この伏流水を蔵内の井戸からくみ上げて使っています。酒づくりに使う水は、鉄分の少ない水が理想的。鉄分は酒を茶褐色にし、酒質を劣化させます。
その点、矢部川の水は、鉄分が含まれていないので酒づくりに最適な水と言えます。また、硬度が高いため、繁桝の酒に「すっきりとした辛口」という個性を与えています。山田錦をはじめとした酒造好適米を丹念に磨き、清涼な水と永い歳月を受け継がれてきた蔵男たちの技、旨い酒をつくり上げようとする心意気によって、仕込み、醸す美酒の数々、その美味しさは矢部川の恩恵によってもたらされているとも言えるでしょう。